雷鳴轟く大雨の中、ジョージアのバトゥミ中心部から引っ越し。
空港を過ぎ、どんどん田舎に進んでいく。
このままトルコに行くんじゃないかと思うほど進んだ。
すれ違う車はトルコから物資を運ぶ大型トレーラーだけ。
目的地付近に到着して、ドライバーが迷い始めた。
工事中の廃墟のようなホテルが立ち並ぶエリア。
ようやく予約画面に表示されているホテルを発見した。
しゃくれ顔のドライバーが、クチをぽかんとして固まってる。
私は、ただただ呆然とするばかり。
新居に引っ越しするときは誰もがワクワクするだろう。
しかし、これを見てワクワクが続くメンタルの人がいたら表彰したい。
ホテルエントランス
ドアマンがいるどころか錆びた南京錠
「ここは人が住めますか?」とドライバーに聞いた。
すると「え、、、あ、、、夏はとても過ごしやすいです、え、まぁ」
ハフハフと、しゃくりながら完全にしどろもどろだ。
南京錠がかかってるので入れないから、契約画面の表示されている番号に電話してもらった。
数分後、ニコリともしないヒゲ面の男が現れた。
まるで殺し屋だ。
かなり危険な臭いがする男。
さっきと同じ質問をした「人が住んでるのか?」
すると、険しい表情で「ほぼ満室だ」みたいなことを言う。
んなわけない。。。
車を降りず、そのまま中心部まで引き返してもらおう。
そう思った時、もう一人、老人が現れた。
ロバートデニーロをものすごく悪そうにしたような顔。絶対殺し屋。
眉間に深いしわを寄せて殺し屋2人は、何やらぼそぼそ話している。
今晩ここで殺され、全てを奪われるかもしれない。
反対だったキャサリンを、何年も説得してジョージアにやって来た。
危険な目に合わせるわけにはいかない。
もしもの事あれば、刺し違えても、キャサリンだけは逃がすしかない。
日本から持ってきたナイフは、どのキャリーに入れてたっけ。。。
いや、2人だから素手で戦うしかない。
2人とも殺された場合には、証拠がないから、ジョージア警察も動かないだろう。
数日前に、SNSでやり取りしたKさんに「何かあったら警察に連絡してください」というメッセージとホテルの住所をDMで送った。
そして、エアビースタッフにもSOSを送った。
ド田舎の村まで送ってくれたドライバーを、いつまでも帰さないわけにはいかない。
とりあえず部屋を見て、すぐ退居しよう。
一方的なキャンセルになるから返金は絶望的だ。
100㎏の荷物を抱え、殺し屋2人とエレベータに乗った。
無言のエレベータの中は、とても永く感じた。
そして、部屋がある階に到着。
エレベータを降りて、確信した。
ここには住めない。人が住んでいるはずがない。。。